ひとり旅に出たくなる!3時間の脱獄体験『深夜特急1-香港・マカオ-』

『深夜特急1-香港・マカオ-』

旅本としてはあまりにも有名な沢木耕太郎の『深夜特急』シリーズ。バックパッカーのバイブルと呼ばれている本です。
ブックオフの100円棚にあったので第1巻を読んでみました。

バス旅なのに深夜特急?

まず最初に書いておく必要がありますが、いつまでたってもこの旅は深夜特急に乗りません。
旅の主な交通手段は乗合バスです。バス旅なのに深夜特急というタイトルは変ですよね。

深夜特急の意味

深夜特急とはトルコの刑務所で受刑者が使う脱獄(ミッドナイト・エクスプレス)という意味の隠語らしいです。

バックパッカーにとっては旅とはある意味、脱獄なのかもしれません。脱獄はどこへ行くのかより何からどうやって逃げるのかが問題になります。

何から逃げるのか。それは日々の仕事だったり、所属する社会だったり、周囲から認識された自分という人間だったりするのでしょう。

なぜ鉄道ではなくバスを使うのか

著者がインドのデリーからイギリスのロンドンまで鉄道ではなくあえて2万キロの無謀なバス旅を選んだことについては明確な理由はないとしながらも次のような説明があります。

日本を離れるにしても、少しずつ、可能なかぎり陸地をつたい、この地球の大きさを知覚するための手がかりのようなものを得たいと思ったのだ。(p.22)

旅の過程が大切

目的地に着くことよりもその過程の中で自分だけしかやらないことに意味を見つけたかったのかもしれません。
現在、デリーからロンドンまでは飛行機を使うと、モスクワ経由で12時間ほどで行くことができます。

機内で眠っていたら着いてしまう場所へバスを使うことでどれだけの苦労と時間がかかるのでしょうか。
その経験は実際に行った人にしか理解できませんが、当書を読むことで疑似体験はできます。

旅の始まり

第1巻(第1便というらしい)は香港の怪しい宿から始まりマカオの賭博場での白熱したギャンブルで終わります。
3時間程の脱獄体験でしたが、当書を読むと誰もが香港・マカオへ行ってみたくなってしまいます。

ネタバレになるので書きませんが最後には思わず苦笑してしまうオチまでついていて、第2便への期待が増しました。

旅の舞台となった街は現在は近代化して様子は変わっているかもしれません。
それでも観光客しか行かない場所を少し外れてみれば、当書の面影はまだ残っているでしょう。

ラジオ番組「JET STREAM」とのつながり

読んでいる最中、頭の片隅には深夜ラジオの旅番組「JET STREAM」のことがぼんやりと浮かんでいました。
今は北海道に住んでいるのでもう聴けないのですが、東京にいた頃は好きなラジオ番組のひとつでよく聴いていました。

番組パーソナリティーの大沢たかおは「劇的紀行 深夜特急」というテレビドラマで主演を務めていたらしいです。

僕はそのドラマは観ていませんが、番組パーソナリティーによって「JET STREAM」と深夜特急がつながるのは面白いですね。